富山県朝日町と博報堂(東京)は11日、町役場で記者発表会を開き、官民連携で展開している公共DX(デジタル・トランスフォーメーション)サービスの充実に向け、「まちづくり会社」を設立する構想を示した。官民のほか、住民や移住者らを加えた三者一体で運営し、さらなる利便性向上を図る。町内外から会社の運営人材を募り、移住者の定着にもつなげる。

 DX推進連携協定を結ぶ朝日町と博報堂は、2020年度に始めた公共ライドシェア「ノッカル」を皮切りに、多彩なDXサービスを提供している。国交付金の採択を受け、23年度にはマイナンバーカードを活用した公共サービスパス「ロコピ」をスタート。ポイント事業や子どもの見守りをはじめ、地域通貨や防災管理の機能を追加したほか、住民参加型の教育サービスや観光客向けアプリなども展開している。これらの取り組みは、住民参加型のデジタル施策として国や全国自治体の注目を集めている。

 今回は「まちづくり会社を中核とした官・民・地域共創型『たのしい未来』づくり事業」と銘打ち、過疎化など地域課題の解決へ向けた全国の手本となる持続可能な運営モデルの確立を目指す。住民や移住者が運営に加わることで外からの視点や利用者目線を踏まえたサービスが期待される。3年間で調査検討を進める計画で町内外から中心的な役割を担う人材を計15人ほど募集して育成する。

 記者発表会で、笹原靖直町長が「少子高齢化がもたらす全国的な課題を解決する一助となるよう取り組みたい」とあいさつし、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部の石原大事務局次長が「まちづくり会社を軸に地域が自立し、将来にわたってサービスを提供していけるよう期待したい」と述べた。博報堂の吉澤到執行役員、滑川哲宏県地方創生局長も出席した。