能登半島地震をきっかけに富山県氷見市に災害救援ボランティアグループが誕生し、富山県内や石川県で支援活動を続けている。名称は会長の阿部光喜さん(63)=富山県氷見市島尾=の名前とアメリカンコミックのヒーローチームをもじった「阿部んジャーズ」。メンバーは「災害を受けて立ち止まっている人たちの背中を支える活動をしたい」と話し、復旧・復興や被災者の生活再建を支援する活動が一段落した後も地域や住民の困りごとに手を差し伸べていく考えだ。
阿部んジャーズは氷見市災害ボランティア・支えあいセンターの登録者の有志たちで結成した。被災家屋からの家財搬出など一般的な支援活動に加え、倒れた灯籠やブロック塀の撤去など技術系の分野にも携わるようになった阿部さんらが母体になっている。当初は5、6人のグループだったが仲間の輪が広がり、現在は県内各地や石川、愛知県の38人がメンバー。ショベルカーといった重機を扱える造園業や石工、漁師、調理師らさまざまな職種の人や世代が集まる。
メンバーは個々に災害ボランティアに取り組む傍らグループとして活動する。これまでに石川県の宝達志水町や志賀町などのボランティアセンターの依頼で36回出動。灯籠48基やブロック塀4件の撤去などを手がけ、一部は氷見、高岡市で請け負ってきた。
メンバーの1人で被災者の上野達也さん(55)=氷見市触坂=は「支援活動を通じて自分も救われている」と言い、被災者だからこそ分かる活動を誓う。ボランティアをしたいという思いがあっても受け皿の問題でその場限りになるケースがある中、「『人を助けたい』と思う人が自然に集まったこの善意のつながりを今後につなげていきたい」。氷見市ボランティア総合センターにグループとして登録しており、阿部さんは災害時に限らず「困っている人がいれば手を差し伸べる団体になっていきたい」と話している。