富山県が県庁本館4階の一部で改装を進めてきたモデルオフィスが完成し、27日に報道陣に公開された。4月7日から3カ月ごとに本庁内の各部局が試験的に入居し、ペーパーレス化やテレワークの推進など働き方改革の実現を目指す。新卒採用競争の激化を踏まえ、執務環境の改善をPRして職員確保にもつなげる狙いだ。運用実績は今後の県庁本館の在り方を巡り、議論の参考材料にもなる。

 約400平方メートルを定員31人と同20人の2室に改装した。壁と天井の断熱性を高め、窓をペアガラスに交換するなどして冷暖房効率を向上。設計上の消費エネルギー量は従来比約3割削減した。1935(昭和10)年の建設当時からほぼ改修されてこなかった床は、配線を収納できる二重床に変えてバリアフリー化した。改装費は約1億8千万円。

 所属長を含め、業務内容によって座る場所を変えるフリーアドレス制を導入するほか、大型モニターやチャットソフトなどを使いペーパーレス化を徹底する。

 4月7日から、人事企画室と環境保全課の2部署が利用を始める。今後1年間で利用した各部署にアンケートし、県庁全体の職場環境づくりに反映させる。管財課によると、既に県内外の自治体から視察が相次いでいるという。

 県庁本館を巡っては、県議会から執務環境を改善すべきとして、新設も含め検討を求める声が上がる。県は2025年度から県庁周辺活性化の一環で、県庁の在り方を議論することにしている。

 モデルオフィスの運用実績は、生産性や事務効率の向上、新卒採用への訴求効果といった点で、今後の議論の参考資料になる。改装は新設よりコストが抑えられる傾向があり、実績によっては、庁舎の全体的な改修が選択肢として浮上する可能性もある。