県内でノロウイルスによる食中毒が多発しているとして、県は5日、初のノロウイルス食中毒警報を出した。注意報の発令中に、高岡市と上市町の飲食店でそれぞれ新たに発生が確認されたため。注意報や警報発令の要領を2005年に定めて以降、警報を出したことはなかった。期間は18日までで、県は手洗いの徹底や食品の十分な加熱などの対策を訴えている。

 県内のノロウイルスによる集団食中毒は、2月以降で計5件となった。2月中旬に高岡市美幸町の飲食店が出した弁当で起き、下旬には富山市婦中町上轡田のサービス付き高齢者住宅と、入善町で開かれた「入善ラーメンまつり」で発生。サービス付き高齢者住宅では、症状を訴えた80~90代以上の入居者11人のうち、1人が吐しゃ物を喉に詰まらせて死亡した。相次ぐ食中毒を受けて県は25日、2012年以来の注意報を発令していた。

 今月初め、高岡市清水町と上市町法音寺の飲食店の利用客がそれぞれ感染したことが判明し、県が5日発表した。これに合わせて注意報を警報に格上げした。

 発生原因は主に、ウイルスに汚染された二枚貝を加熱不十分のまま食べることと、感染した人の手指を介して汚染された食品を食べることの二つ。

 県生活衛生課によると、県内で今年起きた食中毒は5日時点で9件を数え、昨年同期を4件上回る。同課は「県民や食品事業者、飲食店向けの注意喚起に努める」としている。

 同課によると、「入善ラーメンまつり」(2月22、23日)で提供された蒸しカキによるノロウイルスの集団食中毒は、症状を訴えた人が3月4日時点で120人になった。前回公表の2月28日から9人増えた。いずれも軽症とみられる。