富山県の高岡市デザイン・工芸センターの「新クラフトLabo」の研究発表展が27日、市土蔵造りのまち資料館で始まった。市内の伝統産業の担い手が、商品価値を高めるための取り組みなど2年間の研究成果を紹介している。3月2日まで。

 伝統工芸品の販売額の落ち込みや従事者の減少が課題となる中、デザイン開発力や企業同士の連携を高めようと企画した。12社がそれぞれテーマを決め、多摩美術大教授でプロダクトデザイナーの安次富(あしとみ)隆さん監修の下、2023年から研究に取り組んだ。

 12社のうち9社は実物や資料で成果を示した。仏具製造のシマタニ昇龍工房は大型のおりん「鏧子(けいす)」の音の心地良さに着目。鏧子をたたく棒の素材や形状を変えて音の変化を調べた。鉄器や銅器、金属美術工芸品製造の大谷喜作商店は口伝の技術をデータ化したほか、新規受注につながる仕組みづくりを探った。布に漆を塗った新素材や、海外を意識した螺鈿(らでん)の小箱なども並んだ。