大阪の中学に3月納品へ

 富山県南砺市山見(井波)の井波彫刻師、畠山勲さん(86)が、日本神話を題材とした幅4メートルを超える巨大な彫刻作品を制作した。須佐之男命(すさのおのみこと)が八岐(やまたの)大蛇(おろち)を退治する勇壮な姿を表現。「これだけ大きな作品の制作は初めて。苦労したが、経験を生かして仕上げることができた」と喜んでいる。

 畠山さんは井波彫刻歴が70年を超えるベテラン。日展会友で、重要文化財や国宝の修理にも携わってきた。現在も自宅兼工房で、全国各地の社寺彫刻などを手がけている。

 昨年8月に大阪市住吉区の学校法人、浪速学院から、新築中の中学校舎に飾る彫刻作品の依頼を受けた。同法人は神社神道を教育に取り入れており、校内の至る所に日本神話にまつわる装飾が施されている。畠山さんには過去に別の作品を依頼したことがあり、その際の仕事ぶりを高く評価して今回も注文した。

 日本の成り立ちを生徒に知ってもらいたいとの要望から、建国までの歴史を記したとされる古事記の神話をモチーフに選んだ。須佐之男命が暴れる八岐大蛇に酒を飲ませ、酔ったところを剣で退治する印象的な場面にスポットを当て、大蛇の八つの頭が荒れ狂う様子や、剣を振るう須佐之男命の力強い姿を精巧に彫り上げた。

 材木には外国産の松を使用。部材を組み上げる寄せ木造りで仕上げた。全体のバランスを損なわないよう、各パーツの配置に特に苦心したという。昨年8月中旬から制作に取りかかり、今月下旬に完成した。高さ2・6メートル、幅4・5メートル、奥行き65センチ。

 今後、彩色し、3月頃に納品する予定。畠山さんは「少しでも多くの生徒が足を止め、見てくれればうれしい」と話している。