県産の野生鳥獣肉「とやまジビエ」の試食会が28日、富山市舟橋南町のレストラン「シェ・ヨシ」で開かれ、招待客約20人が県内の一流フレンチシェフ4人が腕を振るったジビエ料理を堪能した。

 県は、農作物被害防止対策としてイノシシなどの捕獲を強化しており、動物の命を無駄にしないよう、県内の獣肉処理加工施設や飲食店と連携し、安全に処理された食用肉を「とやまジビエ」としてブランド化し、消費拡大に取り組んでいる。その結果、2019年に約1億円だった被害額は23年には約4千万円に減少。ジビエとしての利用率も同年で17・1%と全国平均の6~7%より高くなっている。

 試食会は、ジビエについて正しく理解してもらおうと県などが開催。黒部市の加工処理施設「狩猟屋」の村井悟史社長が、捕獲から安全な加工処理までの流れを紹介した。主に同店の肉を使ったイノシシ肉の前菜、熊肉のパスタ、バターの代わりに熊肉の脂を使った生チョコなど全4皿が提供され、シェフが料理について説明した。

 そのうち「鹿肉のロースト赤ワインソース」を担当した富山市内のレストランのオーナーシェフ、小室徳幸さんは「村井さんが命を懸けて捕りに行ってくれた肉なので、作り手側もそれを理解して作った。下処理が丁寧で、安心して使える」と絶賛。ソースの赤ワインに県産洋梨のピューレを入れるなど地元にこだわった調理法などを説明した。

 県は2月28日まで「とやまジビエフェア」を実施しており、現在、県内約50の飲食店が参加している。県農村振興課の國分義幸課長は「安心で良質なとやまジビエの消費拡大に向けて今後も情報発信していきたい」と話した。

 問い合わせは事務局076(445)3588。