富山県はインバウンド(訪日客)増加を狙い、アジア各国のインフルエンサーを招いて県内の観光地を紹介してもらう取り組みを強化している。本年度は初めて台湾から招聘(しょうへい)した。コロナ後に増えている個人客をターゲットに、交流サイト(SNS)での情報発信に注力する。米ニューヨーク・タイムズ紙の「2025年に行くべき52カ所」に富山市が選ばれたことを追い風に、誘客を加速させる。

 県によると、県内を訪れる外国人観光客はアジアからが大多数を占める。団体旅行が多かったが、コロナ禍を機に個人客の割合が増えている。個人客は滞在中の行動の自由度が高いことから、SNSでのPRを強化して誘客につなげようと、2022年度からインフルエンサーの活用を本格化した。23年度は韓国、香港、中国、24年度は韓国、台湾、タイから招いた。

 台湾からの招聘は本年度が初めて。台湾はコロナ前も後も県内の訪日客として最多で、リピーター獲得も狙う。今月16日、インスタグラムのフォロワー数が19万人を超すグルメ系インフルエンサーのfoodiefoodiego(フーディーフーディーゴー)さんが来県。射水市の新湊漁港近くでベニズワイガニをまるごと1匹味わい「台湾で日本のカニといえば北海道が有名。ただ富山のカニはとてもおいしかった。人気が出ると思う」と話し、食べる様子などを撮影した。

 24日には、フェイスブックのフォロワーが約165万人いるタイのティワゴーン・ジャンタプーンさんを招き、すし作りを体験してもらった。

 NYタイムズ紙の「行くべき52カ所」に富山市が選ばれたことは、タイのインフルエンサーの間で話題になっているという。国民的人気があるドラえもんの影響で一般人にも富山県は少なからず知られているとし「『52カ所』に選ばれたことは富山をPRする手助けになる」と話した。

 県国際観光課は「『52カ所』で富山の知名度は上がっているはず。海外でSNSを含めたメディア露出が増えることで、富山に行きたいと思う人が増えるのではないか」と期待する。

 今後は欧米向けのPRも強化していく。加藤友晴課長は「米国などからインフルエンサーを呼ぶことも含め、効果的なプロモーションを考えていく」とした。

◆インフルエンサー◆ 交流サイト(SNS)などインターネット上で強い発信力や影響力を持つ人。影響を意味する「influence」が語源。近年は芸能人やスポーツ選手より、SNSでの活動をメインにし、多数のフォロワーを持つ人を指す。