人の言葉をしゃべるなど頭の良さでペットとして人気が高い大型のインコ「ヨウム」の繁殖に取り組む富山市ファミリーパーク(同市古沢)は26日、同園で、これまでの成果を報告する講演会「絶滅危惧種ヨウムの将来を考える」を開いた。過去に、国内の動物園での人工繁殖の実績はなく、ヨウムの飼育を担当する青山三菜さんが、繁殖成功に向けての意気込みを語った。

 ヨウムは、アフリカの森林地帯に生息。人間なら5歳ほどの知能があり、言葉もよく覚えてしゃべるため、世界中でペットとしての需要が高い。そのため生息地では密猟が横行し、2016年に国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に分類され、国際的な商取引が禁止された。

 同園では、繁殖技術の確立と希少動物の保全を目的に、22年から中部大(愛知県)などと協力し、繁殖プロジェクトに着手。現在は6羽を飼育中で、産卵までは成功したが、ふ化には至っていない。

 そこで昨年10月に青山さんと獣医師2人が、アジア最大級の鳥類園を持つシンガポールの動物園を研修で訪ねた。現地では、広大な敷地に多種多様な鳥類を混合飼育するなど野生の生息環境を再現しており、ヨウムは個体数を把握できないほど繁殖に成功しているという。

 講演会で青山さんは「パークではできることに限界もあるが、少しでも野生に近い環境を整えたり、餌のバリエーションを増やしたりするなどして、繁殖に挑戦し続けたい」と話した。国内の動物園で人工繁殖の実績はなく「幸いパークでは、ニホンライチョウの人工繁殖に成功実績がある。この実績を生かして、何らかの形で(人工繁殖の)技術をつないでいきたい」と意気込んだ。

 村井仁園長は「国内でもペットとして人気があり、ヨウムの危機が日本と無関係ではないことを知ってほしい」と話した。