富山県南砺市五箇山地域の上平、平、利賀の3青年団でつくる実行委員会が、同地域が舞台のオリジナル脚本の自主映画「HAGAYASHI」を製作した。主人公とヒロインの再会を軸にした心温まる物語で、団員自らが監督や脚本、役者を務めた。25日は同市下梨(平)の平若者センター春光荘で試写会があり、住民や関係者ら約40人が出来栄えを確かめた。

 五箇山地域では2023年、上平青年団が江戸時代に五箇山に流された遊女の悲哀を描いた映画「お小夜伝(さよでん)」を製作した。今回の映画は3青年団のつながりを強めようと、前上平青年団長、森井勇真さん(34)らが企画。昨年6月に団員35人で実行委員会を立ち上げ、同11月中旬から今年1月18日にかけて撮影を実施。35分の短編に仕上げた。

 五箇山で生活する主人公「一郎」と、12年ぶりに故郷に戻ってきたヒロイン「ゆき」との再会や、彼らの抱えるもどかしさを描いた物語で、五箇山に残る天狗(てんぐ)伝説に着想を得て、住民の記憶から「一郎」が消えていくサスペンス要素も加えた。

 監督と脚本は森井さん、撮影と編集はプロのカメラマンで元地域おこし協力隊員の林賢二さん(39)が担当した。映画のタイトルは富山弁の「はがやしい」に由来する。

 試写会では森井さんとヒロインを務めた和田小夏さん(25)があいさつ。森井さんは「3青年団の活動を形として残せたのはうれしい。映画が少しでも地域の力になれば」と話した。

 今後は試写会でのアンケートの結果を基に、イベントでの上映やDVD化、インターネット配信などを検討する。