今季の富山湾のシロエビの漁獲量は前年比65%減の193トンで、記録がある1985年以降で最少となった。漁場がある富山市沖や伏木沖では能登半島地震による海底の斜面崩落が確認されており、県水産研究所は崩落に伴う海水の濁りや酸素濃度の低下が不漁の要因とみる。

 4~11月のシロエビの漁期が終了し、同研究所が4日までにまとめた。富山市(岩瀬、水橋)は前年比62%減の152トン、射水市新湊は73%減の41トンだった。

 出足から著しい不漁に見舞われ、例年最盛期を迎える夏場になっても伸び悩んだ。10月に入ると、新湊で前年同月の70%に持ち直し、1回の出漁での漁獲量が平年並みになるなど、終盤に回復の兆しも見られた。

 同研究所は地震発生後、ふ化して間もない幼生の分布密度を調査。5月時点で神通川河口沖は前年同月の4%、庄川・小矢部川河口沖では2017年同月の33%に減少したことが分かった。地震前の水準に戻るには2、3年かかるとみている。

 シロエビは「あいがめ」と呼ばれる深い海底谷(こく)に生息する。漁が行われているのは富山湾だけで、1996年に「富山県のさかな」に指定されている。