バスケットボール男子Bリーグ1部(B1)富山グラウジーズは7日、富山市総合体育館で横浜BCに70-68で競り勝った。最終盤に勝ち越し、能登半島地震の影響が続く中、会場に駆けつけた5509人の観客に白星を届けた。連敗は4で止め、通算成績は4勝24敗。順位は中地区8チーム中、最下位のまま。

 富山はマーフィーJr.、伊藤、上田、ブバ、ミラーが先発。序盤はマーフィーJr.のダンクや伊藤の3点シュートで主導権を握ったが、日本代表PGの河村に11得点を許すなど巻き返しに遭い、36-37で折り返した。

 第3クオーター(Q)はミラーらで連続13得点し、互角に渡り合った。68-68で迎えた第4Qの残り8秒、敵陣でファウルを受けたブバのフリースローで勝ち越し、逃げ切った。

 この日の来場者数は今季のホーム戦で2番目に多く、勝利を目指し奮闘する選手らに熱い声援を送った。高岡大輔ヘッドコーチは「このような状況の中で、接戦を勝ち切れたことは次に繋がる。大きな勝利だった」と振り返った。

 ガドソンはB1個人通算2千得点を達成した。次戦は17日、愛知県の豊橋市総合体育館で中地区首位の三遠と対戦する。

 富山以外の試合では、東地区トップのA東京が川崎を99―76で下し、24勝目(4敗)を挙げた。

 西地区1位の琉球はFE名古屋を88―65で退けて20勝目(8敗)をマークした。長崎は信州に92―64で勝利し、馬場雄大(富山市出身)は21得点だった。

東日本大震災経験、高岡HCの言葉で団結

 心一つに逆境をはねのけた。富山は震災で苦しむ県民に勇気を届けようと全員が団結し、今季2戦2敗だった相手に逆転勝ち。先発のマーフィーJr.は「大きな1勝になったと思う」と顔をほころばせた。

 大地震はチームにも大きな影響を及ぼした。体育館が安全点検で使えなくなり、3日に予定していた練習を中止。4日に県内の学校に頼み込み、体育館を借りて練習した。石川県出身で通訳兼練習生の酒井達晶さんは祖父母が輪島市で被災し、不安な日々を過ごしている。

 地震の経験が少ない外国籍選手もおり、チーム内で動揺が広がる中、仙台在籍時に東日本大震災を経験した高岡大輔ヘッドコーチは伝えた。「今バスケットができるのは普通のことではない。周りの支えがあって僕らがある」

 指揮官の言葉に選手はまとまり、この日のコートで躍動した。マーフィーJr.は第1Qから身体能力を生かし、ダンクや3点シュートで15得点をマーク。得点後には度々雄たけびを上げ、しびれる競り合いの中でチームに熱を吹き込んだ。

 米国育ちの新鋭は「こんなに大きな揺れは初めてで怖かった」と明かす。「バスケができることに感謝し、これから波に乗っていきたい」と前を向いた。

河村「バスケ通し何か届けたい」

 横浜BCの河村は富山との試合会場で、地震の被災地支援に向けた募金活動に参加した。「(被災地で)直接的な手伝いがなかなかできない中、バスケットボールを通して何かを届けたい。それが使命だと思っている」と力強く語った。

 その言葉通り、この日の試合では鋭いドライブで富山守備陣を置き去りにするなどして19得点をマーク。前日同様のハイレベルなプレーを見せた。

 募金活動は全てのリーグ戦会場で行われている。

富山 70 - 68 横浜BC
(1Q) 18 - 17
(2Q) 18 - 20
(3Q) 19 - 14
(4Q) 15 - 17
▽観衆 5509人