富山県は24日、2025年度から5年間の新たな総合計画「幸せ人口1000万~ウェルビーイング先進地域、富山~を目指して」を策定した。人口減少対策を最重要課題とし、子育てや人材活躍、まちづくりなど12分野で施策を展開する。新田知事は同日の定例記者会見で「ウェルビーイングでは一歩進んでいるという自負がある。積極果敢に取り組む」と述べた。
総合計画は県政運営の最上位に位置し、各種施策の指針となる。「幸せ人口」は県民と、県外で暮らす関係人口を合わせた人数で、関係人口は22年の県独自調査で約351万人と推計する。歯止めがかからない人口減少の抑制と適応に取り組み、人数を増やす構えだ。26年3月に関係人口の新たな調査結果を発表する。
知事が24年秋の知事選で公約に掲げた「未来に向けた人づくり」と「新しい社会経済システムの構築」を政策の柱とし、子育てや教育の充実、幅広い人材の活躍支援、インフラ整備などを推し進める。それぞれの施策で成果目標を設定し、県民への聞き取りを基に設定した10年後の富山の理想像「とやま2035」の実現につなげる。
一方、結婚や妊娠、子育てに対する価値観の多様化を踏まえ、県人口の目標は設けず、35年後の60年に62万~69万人に減る見通しだと示すにとどめた。合計特殊出生率の向上は、若い世代に「子どもを持たなければいけない」との価値観を押しつける恐れがあるとして、目標から除いた。
県民への浸透を重視し、内容を従来の計画から大幅に圧縮。25年度中に県内の全ての小学生に計画を分かりやすく紹介する「こども新聞」を配るほか、交流サイト(SNS)などを通じ若年層や子育て世代の認知度を高める。
計画の実現に向け、26年度当初予算で人口減少対策や12分野の政策に重点配分する。知事は「26年はスタートダッシュの年。4月からトップスピードで走れるよう準備する」と述べた。