富山県内でクマの出没や捕獲が相次いでいることを受け、県は9日、全庁横断的な対策会議の初会合を開いた。各部局が対応マニュアルの作成など現行の取り組みや今後の課題を共有し、クマ対策の総合的戦略をつくることなど、2026年度当初予算編成に向けた施策の方向性を確認した。
県防災危機管理センターで開催した会合には部局長ら22人が出席した。
生活環境文化部は、26年度に満了する県鳥獣保護管理事業計画と県ツキノワグマ管理計画の改定を通じて、クマ対策の総合的な戦略を作ると説明。現行計画の微修正にとどまらず、国が今後公表するガイドラインに基づき、大幅な改定も視野に内容を見直すとした。来春に行う個体数管理のための捕獲では、若い世代にも関わってもらい、ハンターの確保や養成につなげたいという。
危機管理局は、県職員がクマの出没地域に出張・外出する際のマニュアルを作成したと報告。農林水産部は今後、混交林や緩衝帯の整備を行い、人とクマのすみ分けを図るとした。土木部は新たに県総合運動公園と空港スポーツ緑地(いずれも富山市)で対応マニュアルを作ったと説明し、県警は国の方針を踏まえ、警察官OBに狩猟免許の取得を促すなど協力を要請する意向を示した。
新田八朗知事は、12月としては過去2例目の人身被害が4日、富山市で発生したことに触れ「異常な状況だ」と強調。危機管理局に対策の取りまとめを、生活環境文化部に市町村への支援強化などをそれぞれ求めた。
25年のツキノワグマの出没は7日時点で1033件に上り、04年の統計開始以来2番目の多さ。捕獲は342件で過去最多、人身被害は計6人となった。