TISインテックグループ
~県立高校再編を契機に、データドリブンなまちづくりを推進~

 TISインテックグループの株式会社インテック(本社:富山県富山市、代表取締役社長:疋田 秀三、以下:インテック)は、長野県伊那市(以下:伊那市)とAIカメラでJR伊那北駅の利用者数および車両数のデータを収集し、AIカメラによる計測精度の信頼性および分析したデータが伊那北駅周辺整備計画の基礎データとして有効性が確認できたことを発表します。

背景
 伊那市は、県立高校再編に伴う伊那新校と上伊那総合技術新校(ともに仮称)の開校を見据え、JR伊那北駅周辺の整備を予定しています。整備計画には、JR伊那北駅の利用者数や駅前の交通量の実態を的確に把握・分析することが不可欠ですが、従来の目視による調査では、早朝や深夜を含む長期の人員確保や、集計や分析方法における非効率性に課題が残っていました。そこで伊那市とインテックは、AIカメラを活用して常時計測を行い、その計測精度および分析したデータが伊那北駅周辺整備計画の基礎データとして有効であるかを検証しました。
 インテックは2023年5月に伊那市と「新しいまちづくりに関する連携協定」を締結し、伊那市独自のスマートシティの構築や地域ブランドの創出に向けて取り組みを進めています。今回の検証はその一環であり、AIをはじめとするデジタル技術を用いながらデータドリブンなまちづくりを推進しています。
検証の概要
【実施時期】
2025年6月16日~2025年9月30日(AIカメラ設置期間:6月16日~7月22日)
【実施内容】
1.AIカメラによる人数計測精度の検証
JR伊那北駅構内(屋内)にAIカメラ1台を設置し、撮影した映像から駅構内を利用する人数を計測(プライバシーに配慮し、カメラで撮影した映像は保存せず、数値だけを記録)。また、目視による計測結果との比較を行うため、特定日時に人によるカウンター計測を実施。
<結果>
駅構内を利用する人数は、目視による計測結果を基準に比較した場合、誤差は3%以内に収まり、高精度な計測結果が得られた。なお、AIカメラの画角は、人物の判定を頭頂部で行う「真下画角モード」が最も有効であり、これにより人物同士の重なりによる誤検知を抑制できた。



2.AIカメラによる車両数の計測精度の検証
JR伊那北駅前広場(屋外)にAIカメラ1台を設置し、撮影した映像から駅前広場ロータリーへの車両進入および駅前広場前の県道を通過する車両数を計測(プライバシーに配慮し、カメラで撮影した映像は保存せず、数値だけを記録)。また、目視による計測結果との比較を行うため、特定日時に人によるカウンター計測を実施。
<結果>
駅前広場ロータリーへの車両進入数は、目視による計測結果を基準に比較した場合、誤差が2%以内に収まり、高精度な計測結果が得られた。一方、駅前広場前の県道を通過する車両数については、通過速度や撮影画角の影響により、目視計測との比較で約10%の差異が生じた。

3.BIツールによるデータ分析の検証
JR伊那北駅の利用者数や駅前の交通量をBIツールで可視化(日別、時間別、曜日別等)し、公共交通機関の発着時間や地域内のイベント日時等との相関関係を分析。
<結果>
ピーク時間や曜日別の傾向、入退場数の差、公共交通機関や地域内イベントとの相関関係など、JR伊那北駅の利用実態を把握することができた。これらのデータは、駅周辺の再整備における歩行者の安全を確保する通路設計や混雑を緩和する駅舎内の空間構成、駐停車スペースの動線設計などに活用でき、実態に即した施策の検討に資することが確認できた。



まちづくりに期待できる効果
 今回の検証では、以下の効果が確認できました。
1. AIカメラを用いたデータ収集で調査コストを削減
AIカメラは対象の計測を正確に継続的に実施できることから、従来の人手による現地調査に比べて人件費を削減し、限られた人員リソースを他の重要業務に集中させる効果が期待できる。
2. BIツールを用いたデータの可視化で多様な分析が可能
AIカメラで収集したデータをBIツールで分析することで、データを単独で見るだけではなく、複数のデータを重ね合わせて相関関係を効率的に分析することができる。
3. データ活用でまちづくりの深化に貢献
収集したデータを読み解くことで地域の現状や課題を客観的に示し、まちづくりにおける基礎データや地域内でのワークショップ等にも活用できる。データから読み解くファクトは、市民との合意形成や納得感を醸成し、施設設計およびまちづくりの方向性を定める指針になる。
今後の展開
 インテックは今後も、伊那市との「新しいまちづくりに関する連携協定」に基づき、AIカメラやBIツールなどの先進的なデジタル技術を活用して、伊那市独自のスマートシティの構築や地域ブランドの創出を進めていきます。また、今回の検証成果を他の自治体へも展開し、地域の特性に応じたスマートシティの実現や地域活性化に向けた取り組みを広げていきます。
伊那市からのエンドースメント
 これまでの交通量調査は、専門業者に委託して実施していたため、調査期間が限られ、天候などの影響でイレギュラーな数値になる場合がありました。
 今回、AIカメラの導入により、調査コストを削減するとともに、長期間の継続的なデータ取得が可能となりました。これにより、BIツールを活用して地域の行事などと組み合わせた分析が行えるようになり、JR伊那北駅前の交通動向を可視化することができましたので、今後予定する駅周辺整備の重要な根拠資料となります。
 これまで「肌感覚」で把握していた駅前の様子を、根拠のあるデータとして示すことが可能になり、今後の住民や事業者との合意形成にも役立つことが期待されます。また、駅前ロータリーでは、一方通行区間における一定数の逆走車が確認され、構造上の課題が明らかになりました。これは当初想定していなかった新たな気づきであり、長期的な調査の有効性を確認する結果となりました。
 AIカメラの設置は、インテックのサポートにより、市職員でも運用が可能です。今後は、市内各所での活用を進め、まちづくりや交通安全対策に生かしていきたいと考えています。

長野県伊那市 建設部都市整備課
課長補佐・伊那北駅周辺整備係長 辰ノ口 祐三氏

株式会社インテックについて(https://www.intec.co.jp/)
お客さまの経営戦略に沿った情報化戦略の立案からシステムの企画、開発、アウトソーシング、サービス提供、運用保守まで、IT分野において幅広く事業を展開しています。インテックは、1964年の創業以来培ってきた技術力をもとに、AI、RPA等のデジタル技術の活用や、新たな市場の創造にも積極的に挑戦しています。常にオープンな姿勢で、人、企業、社会を技術でつなぎ、自らも変革しながら「豊かなデジタル社会の一翼を担う」企業としてお客さまに新しい価値を提供していきます。

TISインテックグループについて
TISインテックグループは、国内外グループ2万人を超える社員が『ITで、社会の願い叶えよう。』を合言葉に、「金融包摂」「都市への集中・地方の衰退」「低・脱炭素化」「健康問題」を中心としたさまざまな社会課題の解決に向けてITサービスを提供しています。デジタル技術を駆使したムーバーとして新たな価値を創造し、人々の幸せと持続可能な豊かな社会の実現に貢献します。


※ 記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。
※ 記載されている情報は、発表日現在のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。




◆本サービスに関するお問い合わせ先
株式会社インテック ビジネスイノベーション事業部 クロスインダストリー企画部 中西
E-Mail:Smart_IoTPF@intec.co.jp
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ