県内の市街地や学校周辺でクマの出没が相次ぐ中、近隣で目撃や痕跡の情報があった小学校や高校などでは1日、午前中を自宅待機にしたり、緊急の避難訓練を実施したりするなど対応に追われた。
登下校の安全確保/黒部
9月30日夜に正門付近で成獣のクマ1頭が目撃された桜井高校(黒部市三日市)は、午前中は生徒を自宅待機として午後から登校させた。下校時の安全確保に向け、3日まで部活動を原則禁止とする。
市教委は30日夜に市内の小中学校の全保護者にメールで注意喚起し、登下校について「可能なら送迎」「集団登校を心がけてほしい」と要請。1日は各校が朝の解錠時間を20~30分早めて対応したほか、屋外の活動を控えて、下校時は教職員が児童生徒に付き添った。
市内では30日夜、JR北陸新幹線黒部宇奈月温泉駅周辺でも目撃情報が寄せられた。
遭遇時の対応確認/立山
立山小学校(立山町宮路)は、同校でクマの出没を想定した避難訓練を初めて行い、全校児童51人が遭遇時に身を守る方法などを確認した。
学校付近に成獣1頭が出没したとの想定で実施。校内放送で避難が呼びかけられると、児童は体育館に移動した。
県自然博物園ねいの里(富山市婦中町吉住)の間宮館長補佐による講座もあり、遭遇した場合はクマから目を離さずにゆっくりと後ずさりすることを学んだ。柴田彩人さん(6年)は「クマに遭ったときは走らず、冷静に逃げたい」と話した。
同校では、9月25日に下校中の児童が子グマらしき動物を目撃するなど、校区内でクマの出没に関する情報が寄せられている。当面は保護者に登下校時の送迎を呼びかける。
足跡やふん発見、注意呼びかけ/富山
1日は富山市大沢野地域の下夕林でクマの痕跡が複数確認された。現場周辺は住宅や工場などが立ち並び、市は防災無線などで注意を呼びかけた。
午前10時ごろには、畑で成獣とみられる足跡(約15センチ)が発見された。午後3時ごろには、北東に約1キロ離れた下夕林公民館そばでふんが見つかった。
二つの痕跡について、市はJR高山線の線路をまたいでいることなどから同じ個体ではないとみている。