◎今週の一推しイベント

 【16日(土)】

 ▽「トーベとムーミン展~とっておきのものを探しに~」(~9月17日、港区・森アーツセンターギャラリー)

 誕生から80年を迎え、今も世界中から愛される「ムーミン」シリーズ。その作者トーベ・ヤンソンさんの多彩な創作活動を紹介する展覧会が、六本木で開催されている。

 ヘルシンキ市立美術館の協力を得て絵画やスケッチ、コミック、小説、舞台資料など約300点を紹介。「ムーミン」の背景にある作者の人生のテーマに迫る内容だ。

 芸術家の両親のもとで育ち、15歳の時からファシズムを批判する風刺雑誌「ガルム」で挿絵画家として活躍。20年以上関わった同誌の表紙8点の展示から、反戦の思いが伝わってくる。「表紙にはムーミンの前身といえるスノークの姿が小さく登場している。同誌で培った皮肉やユーモアのセンスが『ムーミン』の物語やキャラクターにも生かされているかもしれない」と企画担当者。

 25年間にわたり全9冊刊行された小説「ムーミン」に出てくるムーミン谷の住民たちは、作者にとって大切な家族やパートナーの面影と重なる。幼少期に弟との口げんかに負けた悔しさのあまり壁に描いた生き物がルーツというムーミンや、その仲間たちの深い言葉の数々を壁面で紹介している。「大切なのは、自分のしたいことがなにかを、わかってるってこと」「自分ひとりで、それを乗りこえるんだわ」―。

 1955年に小児病棟の壁画用に制作した3点のスケッチ「遊び」は必見だ。ムーミンの家族やスナフキンらが楽しそうに階段を駆け上がる姿を色鮮やかに描き、幼い患者たちを思いやる作者の優しさがにじむ。

 「いつも開かれているムーミンやしきには、誰にでも寛容だったトーベさんの精神が表れている。“自分らしさ”や“冒険する勇気”という、現代を生きる私たちにも通じる精神を会場で感じてほしい」

 ○そのほかのお薦めイベント

 【16日(土)】

 ▽「イデーショップ 夏のヴィンテージ企画」(~9月1日、目黒区ほか)

 インテリアブランド「イデー」が、自由が丘店をはじめ首都圏の各店でスペインと北欧のビンテージ家具を紹介している。

 「美意識のある暮らし」をコンセプトに1982年創業。国内外の著名デザイナーやアーティストによる家具や生活用品、アートなどを展開し、いち早くライフスタイルを提案した企業として知られる。

 スペインのビンテージ家具の紹介は初の試み。企画者の三嘴隆造さんがカタルーニャ地方で買い付けた、17~18世紀に庶民が使っていた木製テーブルや椅子が中心だ。「当時の王侯貴族は装飾豊かな高級工芸品や華麗なバロック様式を好んだが、市井では質素で牧歌的なデザインが発展した」と三嘴さん。

 「飾りレースのような彫刻で縁取った棚や、つぼの形をした曲線の意匠が特徴の机の脚などは“庶民のバロック様式”とも言え、力強さと美しさが共存している」。時代を超え、地に足のついた暮らしの良さを感じてほしいと言う。

 北欧ビンテージは、スウェーデンの家具を中心にそろえた。1950~60年代の同国のシンプルなデザインは日本の住居に適しているという。60年代にデンマークで活躍した女性デザイナー、グレーテ・ヤルクによる優美なアームデザインの“2人掛け”ソファも希少な作品。当時数少なかった女性の作り手としての自立した個性が感じられる。担当者の成田高俊さんは「時を経た家やモノに美を見いだす人が日本でも増えている。ビンテージの名作に触れて、生活や社会を変えていくインテリアの力を感じてほしい」と話した。

 ▽「子どもと大人が楽しめるベーカリーレストラン」(通年営業、江東区)

 店内で焼き上げるパンや素材の風味を生かした料理で知られる「BAKERY RESTAURANT C」が、豊洲に新店舗をオープンした。

 “子どもの目線”で考えたメニューや店内のデザインが特徴。12歳以下の子どもがハンバーグやスープ、デザートを楽しめる“コース料理”など、多彩なキッズメニューを提供している。

 子ども用のベーカリーコーナーも特設。いちごドーナツやシュガーパンなどかわいらしいパン7種が並び、幼児でもトングを使って自分で選べるように台の高さを工夫した。パンは無料で好きなだけおかわりができ、食事を頼まない3歳以下の幼児にはジュースと共に無料でサービスする。

 チーズをぜいたくに使った「ミルフィーユカツレツ」や種類豊富な焼きたてパンなど、大人のためのメニューもそろう。大人だけのお客グループが、広々としたフロアを駆けていく子どもの姿を眺めてほほ笑む光景も。

 営業部長の新見利江さんは「少子化が進む中、子連れの家族が伸び伸びした気持ちで、ちょっとリッチな食事を楽しめる店にしたい」と話す。テラス席はペット連れのお客もくつろげる。「誰ひとり我慢せずに、おいしさを堪能してもらえたらうれしい」

 【23日(土)】

 ▽「ANA先生と夏休み自由研究フェス!」(12時~14時半、大田区・ANA Blue Base)

 ANAホールディングスの新規事業「ANA Study Fly」による小学生向けイベントとして、AI時代に子どもの創造力を育むワークショップが、羽田旭町にあるANAの訓練施設で行われる。

 実業家で元アップルジャパン社長の前刀禎明さんとキャリアコンサルタントの延友陽子さんを講師に迎え、子どもたちが実際にAIを使って自分の夢を描き発表する。「正解を求める道具としてではなく、自分自身の発想力を伸ばすためにデジタルを活用することを学んでほしい」と延友さんは話す。連絡先は電子メール、anastudyfly_admin@ana.co.jp