奈良時代に東大寺大仏開眼供養で奉納された複合芸能「散楽」を現代風に再現するパフォーマンスグループ「現代散楽」が10月、奈良市の東大寺大仏殿で奉納演奏を行う。雅楽演奏家の太田豊さん(富山県小矢部市出身)が中心となり、高岡銅器の仏具のおりんを調律した楽器「久乗編鐘(きゅうじょうへんしょう)」で新曲を披露する。

 現代散楽は2019年、東大寺大仏殿での奉納演奏をきっかけに太田さんら6人で結成。久乗編鐘や笙(しょう)、和太鼓、トルコ楽器サズなどの演奏にジャグリング、語りを交えた公演を東京や金沢、高岡などで年2、3回続けている。

 大仏殿での奉納演奏は2回目。東大寺から声がかかり、10月25日に5人で行う。26日には境内の金鐘ホールで公演を開き、ゲストを含めた9人が出演する。

 4日、久乗編鐘を製作した富山県高岡市内免の仏具メーカー山口久乗で、関係者が思いを語った。公演に語りで出演する林恒宏さん(金沢市)は「わくわくするようなものが伝わっていくと思う」、公演ゲストのビオラ奏者、般若佳子さん(同)は「ジャンルを超えてつながっていけるのはありがたい」と話した。

 同社の山口敏雄会長は「東大寺とのご縁が後ろ盾になり、現代散楽が広がっている。久乗編鐘がまとめ役になってくれたチームがずっと続いてほしい」と言う。太田さんは「結成6年目でもう一度機会をもらい、積み重ねてきたことを大仏様に見てもらえるのはうれしい。これからの5年間をスタートさせるきっかけにしたい」と意気込む。

 公演の整理券(無料)に関する問い合わせは山口久乗、電話0766(22)0993。