「第10回高校生万葉短歌バトルin高岡」が31日、富山県高岡市のウイング・ウイング高岡で開かれ、初出場の大船渡(岩手)が優勝した。準優勝は昨年優勝した光陵(神奈川)、3位は東京学館新潟と盛岡第三。県内から唯一出場した伏木は盛岡第三に初戦で敗れた。

 全国の23校64チームによる予選を通過した8チームがトーナメント戦を繰り広げた。試合は、かつて貴族の間で流行した「歌合(うたあわせ)」を現代風にアレンジし、3人一組で先鋒、中堅、大将がそれぞれ対戦した。1回戦の題は「音」、準決勝は「本」、決勝は「新」。みずみずしい感性で日常の出来事や秘めた思いなどを表現し、批評し合った。

 伏木の南部絢加さん、幅下翠杏さん、尾山朱音さん(いずれも3年)は万葉の時代の衣装で登場。能登半島地震からの復興に思いを寄せ、勇壮な伏木曳山(ひきやま)祭を詠んだ歌も披露した。

 決勝は、生き生きとした場面を描き個性が際立ったとして、大船渡に軍配が上がった。表彰式でメダルを受け取った大船渡の安田光朗さん(3年)は「信じられない気持ち。これからも精進していきたい」と述べた。

 判者は歌人の小島ゆかりさんと佐佐木頼綱さん、高岡市万葉歴史館の坂本信幸名誉館長が務めた。最優秀作品に贈られる角川「短歌」編集部賞には、光陵の柳原萌々子さん(2年)が輝いた。第10回開催を記念して判者賞を新設し、3人の判者がそれぞれ1点ずつ選んだ。

 万葉歌人、大伴家持ゆかりの高岡の魅力を発信しようと毎年開催。対戦の模様は動画投稿サイト「ユーチューブ」で生配信した。後日、編集した動画を同サイトで公開する。高岡市と市教委、市万葉歴史館、県歌人連盟、北日本新聞社でつくる実行委員会主催。

 ◇判者賞▽小島ゆかり賞=重黒木俊陽(NHK学園)▽佐佐木頼綱賞=窪田明(盛岡第三)▽坂本信幸賞=樋口舞(東京学館新潟)