結婚式で着用したウエディングドレスやベールが、わが子の服に生まれ変わったらいい-。こうした願いを受け止めて、ハンドメード作家の村上江奈美さん(42)=富山県上市町=が、キッズ向けフォーマルブランド「ufu(ウフ)」を立ち上げた。「特別な日の思い出を新しい形で残すお手伝いができれば」と話している。

 近年、結婚式のドレスはレンタルが主流だが、購入する花嫁や、レンタルのドレスのサイズを調整する際に買い取る人は現在もいる。村上さんは知人から「購入したドレスを別の形で残したくて、子どものお宮参りに使うケープにリメークした」と聞き、ブランド立ち上げを思いついた。

 結婚式や入学式、七五三、習い事の発表会などに子どもが着ていける10種類のドレスを考案。「3、4歳(身長90~100センチ)」用と「6、7歳(120~130センチ)」用がある。自宅兼作業場には、花やチョウの刺しゅう、繊細なレースをあしらった小さなドレスが並ぶ。「たんすに眠っていたドレスやベールの再利用はSDGsの観点からも大切。素材を循環させたい」と言う。

 自身も小学1年生と3年生の子どもを育てるママだ。滋賀県出身で関西の服飾専門学校を卒業後、ファッションデザイナーとして働き、2012年に結婚を機に県内に移住。17年から自宅でハンドメードを始めた。子どもが昼寝している間に、スタイ(よだれかけ)などのベビーグッズを作り、「ehe(エヘ)」のブランド名で、県内各地で開かれるマルシェにたびたび出店してきた。本紙芸能面の連載「コレを見よ!続」でイラストの担当もしている。

 21年からは大手ブライダル会社から、ウエディングドレスの縫製の仕事も請け負う。シルクやサテンなど光沢感がある分厚い生地の縫製を一から学び直した。子どもが寝静まった夜から朝方に時間を確保し、週1着のペースで仕上げてきた経験が、ウエディングドレスを子ども服にリメークする取り組みに生きている。

 「子どもの成長段階に合わせて働き方を柔軟に変える」をモットーとしてきた村上さんにとっては、家でじっくり製作する現在のスタイルがちょうどいいという。子ども服以外にも、ベールから作る赤ちゃんの「ファーストシューズ」も手がける。「ママが残した物を子どもが受け継ぐ。ストーリー性のある洋服ってすてきですよね」とほほ笑んだ。

 ufuではインスタグラムやLINEでリメークの相談や注文ができる。