富山県射水市加茂中部の下村加茂神社で毎年5月4日にある「やんさんま祭り」で今年、馬2頭がデビューを飾る。祭りの神事の一つで疾走する馬から乗り手が矢を放つ「流鏑馬(やぶさめ)式」などに参加する。高齢の馬が引退するためで、本番に向け騎手と共に稽古に励んでいる。

 やんさんま祭りは、全国で唯一の奇祭とされる「牛乗式(うしのりしき)」などが順に行われる。950年以上の歴史があり、1967年に県の無形民俗文化財に指定された。

 流鏑馬式は「やんさんま」の語源とされ、祭りの最後に行う。3頭の馬が境内を駆け抜ける迫力を間近で感じられ、見どころの一つとなっている。

 馬の調教や騎手は地元の下村愛馬クラブのメンバーが担い、馬は5~10年で世代交代させている。新たに加わったのはファイナルレーサー(12)とラルゴ(8)の2頭。いずれも元競走馬で、ファイナルレーサーは県外の乗馬園から譲り受けて今年2月に来た。おとなしくて優しい性格だ。ラルゴは装蹄師を通して昨春購入し、おおらかで動じないタイプという。

 3月中旬から境内や近くの下村馬事公園で試走し、騎手が矢を放つタイミングや所作、馬の走るスピードを念入りに確かめている。

 騎手を務める柴田大輔さん(28)は「馬は周囲の影響を受けることがあるので気を付けたい」と話す。高島周さん(42)は「馬が安心できるよう、落ち着いて乗りたい」と意気込む。馬は他の神事にも参加する。