若鶴酒造(富山県砺波市三郎丸、稲垣貴彦社長)は、ウイスキー蒸留所「三郎丸蒸留所」にブレンダー室を新設した。原酒のテイスティングやブレンドを行う専用スペースとして使用し、商品開発を進める。ワークショップルームも併設し、将来的には一般の人の見学や作業体験を受け付けることも検討しており、ウイスキーの魅力を発信する。

 ブレンダー室とワークショップルームは計約100平方メートル。会議室をリノベーションした。建築家でもあるコラレアルチザンジャパン(南砺市)の山川智嗣社長がデザインを担った。

 ブレンダー室には、原酒の瓶を並べ、マスターブレンダーの稲垣社長を含む3人の職人がブレンディングを手がける。原酒の味や特性を把握し、複数を混ぜ合わせて商品を仕上げる。

 若鶴酒造のウイスキーの売上額は、この10年間で60倍に拡大。2024年9月期の売上高15億円のうち、ウイスキーが8割を占めるようになった。これまでブレンディング作業は、日本酒の製造室の一角で行っていたが、製造量が増えていることもあり、専用スペースを設けた。

 ブレンダー室は蒸留所の「心臓部」に当たり、ブレンドのノウハウなどの機密性の観点から一般的には公開されていないが、若鶴酒造はワークショップルームも設けて見学ができるようにした。組子建具とガラスを融合させた陳列棚「ガラスシリンダー」を置き、原酒の瓶を美しく並べた。

 8日は報道関係者向けの発表会があり、稲垣社長は「ブレンダー室を公開するのは、世界でも例がない。ウイスキーの奥深さを伝えたい」と話した。