富山県南砺市と石川県小松市それぞれの伝統工芸である井波彫刻、九谷焼の技術を生かして共同制作された作品の披露が1日、小松市内であった。総勢62人に上る職人の技術を結集して「未来へつながる山門」を表現。4月13日に開幕する大阪・関西万博会場に展示される予定で、関係者は「世界に発信できる絶好の機会になる」と期待した。
共同作品のタイトルは「山門 森羅万象」。南砺、小松の両市には井波別院瑞泉寺や那谷寺といった代表的な寺院があることから、山門をテーマにした。万博首長連合の会員市町村が出展する「LOCAL JAPAN(ローカルジャパン)展」で展示される。
高さは台座を含め2・5メートル、幅は3メートル。九谷焼の職人32人が1枚ずつ手がけた陶板(縦24センチ、横32センチ)を門柱の四方に貼り付け、上部には井波彫刻の職人30人による木彫りの竜を、門柱に絡むようにあしらった。
職人たちは、一体感が出るよう対面やオンラインで協議を重ねた。
井波彫刻協同組合の花嶋弘一理事長は「焼き物と木彫りで、最初は接点を見つけにくかったが、話し合う中で互いの強みを生かせるようになった」と振り返る。小松九谷工業協同組合の宮本雅夫理事長も「小松九谷の個性や多様性が伝わる門柱に竜が乗ることで、圧倒的な存在感が出る」と語った。
九谷セラミックラボラトリーであった完成披露の式典で、田中幹夫南砺市長は「立派な作品ができ、誇らしく感動している」と語った。宮橋勝栄小松市長はローカルジャパン展の入り口付近に飾られる見通しだとし、「想像以上の出来上がり。世界に向けて大きなPRになる」と強調した。
共同作品は3月8、9の両日、南砺市福野文化創造センターで展示される。