能登半島地震で被災した高岡商工会議所伏木支所(富山県高岡市伏木湊町)が、公費解体されることになった。建物は明治期に建てられた国登録有形文化財で、地域のシンボル的な建築物の一つ。商議所は修復を模索していたが、液状化現象の被害が大きく、復旧工事を断念した。

 建物は1910年に伏木銀行として建てられた。土蔵造りに洋風の意匠を取り入れたモダンな外観が特徴。震災で外壁のタイルが剥がれて亀裂が入り、内壁も崩れたほか、液状化被害で建物が傾いた。

 商議所は歴史ある建物を残そうと協議を重ねたが、復旧工事の手法や費用、地盤の状態を総合的に考慮して取り壊すことを決めた。昨年12月に公費解体を申請した。解体時期は未定。

 商議所は今後、伏木支所の文化的価値や建物の特徴を記録し、後世に伝承する方針。伏木支所は現在、氷見伏木信用金庫伏木支店(同市伏木錦町)に移転しており、今後も当面の間、支店内で業務を続ける。