富山国際大は25日、富山県立山町芦峅寺などで、県外に住む視覚障害者を対象とした1泊2日の観光ツアーを初めて開いた。全盲の文化人類学者、広瀬浩二郎さんを含む障害者5人とその介助者らが参加し、立山信仰の歴史や豊かな自然の魅力に触れた。

 ユニバーサルツーリズムの研究を進める富山国際大の一井崇准教授が広瀬さんらと協力して試験的に実施。伝統文化と自然があり、視覚以外の感覚を生かしたツアーを計画しやすいことから立山町を訪問先に選んだ。将来的な商業化も視野に入れているという。

 25日は地元ガイドの案内で、同町芦峅寺の雄山神社や閻魔(えんま)堂を巡り、建物の大きさや色、素材などについて説明を受けた。

 野ウサギやクマなどの毛皮を触り、立山に生息する動物に理解を深める体験もあった。立山に極楽浄土や地獄があるとされる立山信仰の考えや、それに基づく布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)の案内時には、閻魔大王が使うとされる道具に触れた。

 東京都の原則子さん(76)は14年ほど前に肺炎を患い失明した。「昔は目で楽しめたけど、今はできない。道具や毛皮、建物などに触れる体験が多く、歴史ある場所に来たことをより実感できた」と話した。

 26日は陶芸や伝統料理の調理を体験する。