山岳スキー競技の第18回日本選手権黒部・宇奈月温泉大会最終日は19日、富山県黒部市宇奈月温泉で長距離種目のインディヴィジュアルを行い、36人が標高差200メートル以上のコースを周回する過酷なレースで争った。県勢はシニア女子の池田美貴(38)=南砺市=と、18歳以下男子の山田朝陽(あさひ)(14)=富山市月岡中3年=が出場し、いずれも4位だった。

 山岳スキーはスキーと登山を組み合わせたスポーツで、「SKIMO(スキーモ)」とも呼ばれる。往路は板を着けたり担いだりして斜面を登り、復路は滑り降りて着順を争う。宇奈月温泉での日本選手権開催は4年目。

 性別、年齢別に5部門があり、全選手が午前10時に温泉街の総湯「湯めどころ宇奈月」前から一斉に走り出した。途中で板を着けて高台の宇奈月温泉スキー場へ駆け上がり、ゲレンデ周辺の周回コースを部門に応じて3~5周した。

 選手は好天の下、より高い順位を目指して力を振り絞った。最長距離のシニア男子はコースを5周して計12・3キロ(総標高差1407メートル)を走り、宮津旭(30)=長野県=が1時間31分50秒で初優勝した。

 山岳スキーは2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪で新競技として採用される。インディヴィジュアルは五輪種目に含まれていない。大会は日本山岳・スポーツクライミング協会主催、北日本新聞社共催。

 ▽シニア男子(2)平林安里(3)藤川健▽シニア女子(1)滝澤空良(2)林楓(3)青木聖美▽20歳以下男子(1)滝澤漣▽18歳以下男子(1)笹川勇太(2)石川太郎(3)藤井駿杜▽18歳以下女子(1)田邉美藍

県勢2人力走、シニア女子池田・18歳以下男子山田ともに4位

 県勢は国際大会の出場経験がある2人が力走した。

 8人が出場したシニア女子の池田は、昨年の6位から二つ順位を上げた。約1年前に教員の仕事を辞め、競技に専念。持久力強化の練習が、板を担いで走る序盤に生きた。

 4月には長野県で行われるスプリント種目の日本選手権に出場する。「見つけた課題を克服して、諦めずにやりきる姿を見せたい」と話した。

 18歳以下男子の山田は、7人中4位と昨年と同順位だった。この1年で体力が付いた実感はあり、「日本選手権で1位を取り、最終的には五輪に出たい」と目標を語った。

家族連れや女将らエール

 会場では、宇奈月温泉街の関係者やスキーに訪れた家族連れが選手たちにエールを送った。

 宇奈月温泉の旅館の女将(おかみ)でつくる「かたかご会」はそろいの法被で応援した。濱田昌子(よしこ)会長は「選手が力を発揮するのに役に立てたらいい」と話した。

 家族とスキーの練習をしていた南陽菜乃(ひなの)さん(石川県能美市浜小学校2年)は選手を見て「坂を登っていくのがすごい」と目を見張った。

 ミラノ・コルティナ五輪では短距離種目のスプリントと混合リレーが実施される。関係者によると、宇奈月で行われたインディヴィジュアルも将来的に五輪種目になる可能性がある。濱田会長は「宇奈月の大会から五輪選手が出てくれるとうれしい。頑張ってもらいたい」と話した。