富山県立山町で有機農業のコメや野菜を使ったオーガニック給食の提供実現に向けた動きが進んでいる。地元有志らでつくる団体「mamena(まめな)」(久田裕里佳代表)の活動がきっかけとなっており、町は今月から給食に有機農産品を納入する生産者の募集を始めた。同団体は食の安全に関する映画の上映会や町内の農業者の視察などを通じて有機農業の普及啓発に取り組んでおり、久田代表(43)は「給食にとどまらず、皆が食の安全を考えるきっかけにしたい」と話している。
保育士の経験を生かし、親子の居場所づくりに取り組む立山町在住の久田代表は昨年2月、町で菓子店を営む段絵未さん(39)と自然栽培や有機農業の兼業農家でもある北陸近畿クボタ立山営業所長の永井孝幸さん(47)との3人で団体「mamena」を設立した。
団体では、多くの人に関心を持ってもらいたいと、食の安全やオーガニック給食の必要性を訴える映画の上映会を複数回開催。町在住で不動産会社役員の大江利男さん(59)もメンバーに加わり、昨年11月30日と12月1日に2日間にわたって開いた上映会には約160人が集まり、舟橋貴之町長ら町関係者も訪れた。
町議会12月定例会では、町が化学肥料や化学農薬を使用しない有機農業の推進に力を入れる方針を示した。佐伯悦哉農林課長は「グループの活動がきっかけ。実現に向けて課題を解決していきたい」と話す。販路確保のため、町では今月8日に保育所や小中学校の給食に有機農産物を納入できる生産者の募集を開始した。
昨年12月21日にはメンバー4人が有機農業などで年間150品目を栽培する下段地区の山菜海ファームを訪れ、杉田篤信代表(38)から有機農業の野菜栽培などについて教わった。久田代表は「子どもたちに安心安全なものを食べてもらいたい。子育て支援にもつなげたい」と話した。