食害ウニの商品化に取り組むウニノミクス(東京)は、富山県朝日町に国内3カ所目で最大規模となる生産事業所を新設する。磯焼けの一因として駆除されたウニを漁業者から買い上げ、独自の「畜養システム」で育ててから商業ベースに乗せる。2025年中の建設開始を予定し、富山の新たなブランド品の確立を目指す。

 国内各地の海岸では、気候変動の影響で増殖したウニが藻場を食い荒らし、砂漠化する「磯焼け」が問題になっている。県内でも駆除しているが、数の多さに対応が追い付いていない。

 同社は、身が少なく利用価値のない駆除ウニに独自開発の配合飼料を与え、短期間で太らせる「畜養」の技術を持つ。大分県と山口県の生産拠点では、地元で回収したウニを約2カ月で身が詰まったブランド食材に仕上げ、全国の高級飲食店や百貨店、ホテルなどに販売。食害ウニを間引くことで藻場の回復も図り、海洋保全につなげている。

 関係者によると、朝日町の新事業所は、海沿いの同町浜草野で町が造成する用地約1万1千平方メートルに畜養場3棟を段階的に整備する。稼働すれば、県内外から食害ウニを受け入れる。

 25日に同社の石田晋太郎社長や笹原靖直町長、新田八朗知事らが出席して記者発表を行い、事業の概要を明らかにする。