富山福祉短大などを運営する学校法人浦山学園(浦山哲郎理事長)は10日、射水市内に四年制大学「高志(こし)大学(仮称)」を設立する構想を発表した。経済経営学部を設け、募集定員は95人を想定。同市三ケ(小杉)の同短大キャンパス内に新校舎を整備する。2026年10月に文部科学省に大学新設を申請し、28年4月の開学を目指す。 

 新たな大学は「地域における経済活動を主体的かつ創造的に実践できる人材育成」を掲げ、職業人教育に力を入れる。短大については、新大学設立後に、高志大短期大学部として存続させる。学長には日本総合研究所主席研究員、藻谷浩介氏(60)が就任する。

 富山市のANAクラウンプラザホテル富山で記者会見した浦山理事長は、大学進学に伴う若者の県外流出に歯止めがかからない現状を挙げ「受け皿となる大学を作りたい」と述べた。

 設立に必要な資金は14億円を見込む。このうち11億円は浦山学園が拠出し、残る3億円は寄付や企業版ふるさと納税などで確保することを目指す。

 同日、県内の経済団体などを中心とした設立支援後援会が発足し、発起人代表に中尾哲雄富山経済同友会特別顧問が就いた。設立に向け、資金面などで協力する。

 県内で四年制大学が新設されれば、県立大と富山国際大が開学した1990年以来となる。

新田知事「心から歓迎」

 浦山学園が四年制大学の設立を目指すと発表したことを受け、新田八朗知事は10日、「心から歓迎したい」とのコメントを出した。「人づくりは未来に向けた重要な投資であり、高等教育機関は県の活力を支え、発展の礎となる重要な場所である」とした。

<解説>経済界が全面支援

 学生の獲得競争が激しさを増す中で生き残りにかける浦山学園が、四年制大学の設立を目指す決断に至ったのは、大学進学に伴う若者の県外流出で人材確保に苦しむ経済界の後押しがあったためだ。

 行政や経済界には、地元に新たな受け皿となる進学先をつくることで、地域活性化や人材確保につながるとの期待感が広がる。設立支援後援会には、県商工会議所連合会や富山経済同友会など、県内の主要経済団体のトップが名を連ね、全面的にバックアップする体制だ。

 学園は、少子化や職業意識の変化などで短大経営がとりわけ厳しさを増す中、四年制大学の設置で生き残りを図る。同学園が経営する富山福祉短大は近年定員割れが続き、定員全体に占める入学者の割合を示す定員充足率は75・6%にとどまっている。

 しかし、四年制大学を取り巻く環境も楽観できるものではない。全国の四年制私立大は今春、約6割が定員割れだ。県内では4月、高岡法科大が募集停止に追い込まれている。地域社会に根付いた大学として学生を安定的に確保できるか、今後の手腕が問われる。(新井翔大)