ジャズに魅了された若者たちの熱い青春を描くアニメ映画「BLUE GIANT」が公開中。立川譲監督は「ジャズは難しくてちょっと、と思っている人にこそ見てもらいたい。こんなにも熱くて激しい世界があったんだ、とわくわくすると思います」と語る。
石塚真一の人気漫画を映像化。「世界一のジャズサックスプレーヤー」を夢見て上京した宮本大は、気鋭のピアニスト沢辺雪祈と出会う。大の高校の同級生でドラム初心者の玉田俊二も加わり、3人でバンド「JASS」を結成。日本一のジャズクラブで演奏することを目標に活動を始める。
見どころは圧巻のライブシーンだ。音楽担当に世界的ジャズピアニストの上原ひろみを迎え、原作にも登場する「JASS」のオリジナル曲を制作。大の演奏担当には「サックスで芝居ができる」馬場智章が選ばれた。立川監督は「真っすぐで力強い大の音色を巧みに演じてくれた」と話す。
ジャズの特徴である「ソロ」と呼ばれる即興演奏の場面では、実際に上原や馬場が即興で奏でたメロディーから、指使いなどを再現した。「気が遠くなるような作業だったけど、このやり方でしか表現できない『リアル感』を大事にしました」
演奏キャリアも性格も異なる3人が、ぶつかりながら成長していく過程は「誰もが共感できる物語になっている。音楽に限らず、何かに熱中するっていいなと感じてほしい」。自身もこの映画を機にサックスを始めたという。「いつか『JASS』の曲を格好良く吹けるようになりたいです」
(取材・文=共同通信・高田麻美、撮影=間野萌)