※クマ出没や人身被害の多発を受けて、2019年10月の朝刊連載「実践 クマから身を守れ」を公開しました。記事中の人名、肩書き、日付、地名などは当時のものです。

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【提言】麦島啓央さん(県自然保護課野生生物係技師)

 県内ではこれまで2004、06、10年にツキノワグマが大量出没しました。今年の目撃・痕跡情報は8月までは平年並みでしたが、9月は114件と、06、10年に次いで3番目に多くなりました。10月も1日10件超のハイペースで出没しています。

 過去に大量出没した年と同様に、今年は餌となるドングリの実りが非常に悪い。県森林研究所が8月に行った豊凶調査では、標高の高い地域に生育するブナとミズナラは「凶作」、標高が低い地域に多いコナラは「不作」でした。

 特に県西部で実り具合が悪く、出没の危険性が高いとみていましたが、現在のところは富山市南部を中心とする県東部で目撃情報が多発しています。県西部で少ない理由は不明ですが、クマは冬眠に入る11月末ごろまで餌を求めて動き回るので、引き続き警戒が必要です。

 県では14年から出没情報地図「クマっぷ」を、自然保護課のホームページで公開しています。市役所や町村役場を通じて県へ報告のあったクマの目撃・痕跡情報を、できる限りリアルタイムで提供しています。

 お住まいの地域のほか、通勤、通学路や行事開催の予定場所の出没情報を確認し、危険を避けるのに役立ててほしいと思います。

 クマは県境を越えて移動します。新潟県と石川県が発信している出没マップもリンクを掲載しているので、チェックしてください。

 =おわり