富山県の魚津市企画政策課の伊串祐紀さん(41)は、市職員と漁師の二足のわらじを履いて活躍する。ふるさと納税を担当し、市への寄付額が2024年度に初めて10億円を突破。冬から春にかけては毎週日曜、刺し網漁師として出漁する。「自分の関わる仕事が目に見える成果に変わっていくのが面白い」とやりがいを語る。交流サイト(SNS)で水揚げ情報なども発信し、魚津の海の幸の魅力発信に一役買う。

 伊串さんは愛知県阿久比町出身。大学で海洋学を学び、名古屋港水族館で約1年間勤務した。飼育員を募集していた魚津水族館の採用試験合格を機に2007年、魚津市に移り住んだ。その後、市職員として同館の学芸員となり、17年度から現在の企画政策課で働く。

 同課では20年度からふるさと納税を担当。「ただお金を集めるだけでなく、事業者さんの可能性を広げることが大事」と事業者同士が連携し、商品開発などに取り組めるよう後押しした。制度の流行にも乗り、20年度に2億4千万円ほどだった納税額は24年度に11億8千万円近くになった。同年度に魚津水族館の修復費用を募る「ふるさと納税型クラウドファンディング(CF)」で4600万円超を集め、話題にもなった。

 市職員に加え、漁師の顔を持つようになったのは、3年ほど前。地元の漁師から多くの人に富山湾の魚に興味を持ってもらいたいと相談を受けたのがきっかけだ。1~5月に週末漁師として、好栄丸水産(同市)の刺し網漁船に乗り、網の仕掛けや引き揚げを担うほか、同社のインスタグラムアカウントで水揚げ情報や富山湾の珍魚などを紹介している。市も地場産品や農林水産業などのPRにつながるとして応援する。

 伊串さんは二足のわらじを履く理由について「自分自身をコンテンツ化して公務員でもこういう働き方ができることを示し、市役所の仕事にも興味を持ってもらいたい」と話す。

 魚津に来て18年余り。さまざまな市民らと関わる中で、地域を良くしたいという前向きな人が増えている実感が増してきたという。「今ある地域資源を磨き、活用方法を工夫して魚津が良くなることに貢献できればうれしい」と意気盛んだ。