年末年始のギフトシーズンを前に、江戸時代の富山の贈り物文化を紹介する企画展「越中富山の贈り物」が、富山市本丸の市郷土博物館で開かれている。テレビの鑑定番組でも取り上げられ、高値が付いた螺鈿(らでん)細工「杣田(そまだ)青貝細工」の実物もあり、注目を集める。

 杣田青貝細工は富山藩2代藩主、前田正甫の代に召し抱えられた杣田家の作品。切り貝や切り金に研ぎ出し蒔絵(まきえ)を交えた精緻(せいち)な文様が特徴で、代々、富山藩主が他藩への贈り物に用いた。九州・小倉藩主を務めた小笠原家には、1862年に献上された印籠が現存している。父子相伝だったため明治期には途絶え、幻の伝統工芸技術と呼ばれている。

 企画展では、同館が所蔵する料紙箱「野路玉川萩之図」と印籠2点を披露。料紙箱は、黒漆で夜の情景を、金粉で咲き誇るハギを表現しており、技術の高さをうかがわせる。

 会場には計23点を展示。1996年に同館に寄託され整理作業を終えた「内山家文書」約1700点のうちの17点も初公開した。江戸時代の武士の家が婚礼や見舞い、お土産に何を贈ったかを詳細に伝えている。

 担当した学芸員の泉田侑希さんは「江戸時代の贈答文化を知るきっかけにしてほしい」と話す。

 会期は来年2月1日まで。観覧料210円。1月10日、2月1日午後2時から展示解説会もある。12月28日~1月4日は休館。