高岡市美術館(富山県)のパティオ(中庭)に建てられる市出身の美術商、林忠正の胸像の鋳造が始まるのを前に、林のひ孫で日本女子大学名誉教授の高頭麻子さん=横浜市=が29日、高岡市内の工房を訪れた。像の基になる原型の仕上がりを確かめ、「銅像として地元に帰ってくることができて、本人もうれしいと思う。完成が楽しみ」と笑顔を見せた。
高頭さんは夫の直樹さんと共に、原型制作を担う同市京町の彫刻家、楢原北悠さん(72)の工房を訪れた。高頭さんが寄せた林の功績を紹介する銘板の内容や、水粘土でできた原型を確認。「穏やかで優しい顔つきになった。建立のために尽力してくださっている方々に大変感謝している」と話した。胸像は市内の鋳物関係者らでつくる「林忠正銅像制作委員会」が建立を目指している。原型制作や鋳物の仕上げは楢原さんが担い、鋳型制作や鋳造は市内の鋳物メーカー、平和合金が行う。
この日は出町譲市長、委員会の藤田益一さん(平和合金会長)と荒俣勝行さんも同席した。楢原さんは、富山県にゆかりのある偉人の胸像制作に長年取り組んでいることから、「高岡が世界に誇る林忠正をより多くの人に知ってもらえるよう、これまでの経験を生かしたい」と意気込んだ。