遊び心と共感を意識
北日本新聞社は初春漫画コンクールの作品を募集している。第32回のテーマは「芽吹く」。審査員を務める南砺市の漫画家、森みちこさん(60)は「何を芽吹かせたいか、芽吹いた先に何があるのか想像しながら描くと、力のこもった作品に仕上がるはず」と話している。
初春漫画コンクールは1995年に始まった。毎年幅広い世代から明るくユーモアに富んだ作品が寄せられている。
テーマの「芽吹く」は、戦後80年を迎え、「いのち」をテーマに掲げた大阪・関西万博が開催されるなど、ことしは命について考える機会が多くあったことにちなんだ。植物が新たな芽を出し始めるように、来年が豊かで伸びやかな年になってほしいという願いも込めている。
まずは「芽吹く」から思い浮かぶ言葉や情景を集めてみよう。「春の訪れ」や「生命の誕生」「植物の成長」「新しいことを生み出す」など。自分の中で芽吹かせたいことをテーマにしたり、芽吹く瞬間を見守る側の視点で描いたりしても面白い。
森さんの作品では「芽吹き薬」をかけすぎて、頭からたくさん芽が出たというにぎやかなオチで締めた。「ここまで自由に描くことができるのが、漫画の面白さだと思う。遊び心を持たせ、共感も得られる表現があると、よりよい作品になるはず」と話す。
森さんはコンクールの初回から審査員を務める。ベテランの応募者は、漫画を楽しんで描いているのが伝わってくると言い、「構図や内容といったテクニックはもちろんだが、作者の思いが詰まった作品に引かれる」と話す。近年は、デジタルの作品も増え「描きやすい方法で、何点でも描いてみてほしい。文字は大きめで、著作権には気をつけて」。
締め切りまで1カ月を切った。森さんは「漫画を描くたびに、皆さん自身が芽吹いているはず。全ての作品を楽しみにしています」と語った。
2026年1月10日発表
入賞入選作品は2026年1月10日のライフ面とwebunプラスで紹介する。