円滑なコミュニケーションが取りにくくなる「失語症」がある人の支援者を養成する講習会が15日、富山市内で開かれた。受講生4人が失語症の人と一緒に市ガラス美術館や富山駅前を訪問。案内方法などを学び、支援の在り方に理解を深めた。

 失語症は脳卒中や交通事故により発症する。脳の言語中枢が傷つくことで、話す、聞く、読む、書くといった言語に関わる体の働きが低下する。意思疎通が難しくなり、周囲から孤立してしまうケースもある。

 15日は富山市高畠町のデイサービス「蒼(あお)の舎(いえ)」を発着点に、市内電車で市ガラス美術館が入るTOYAMAキラリや富山駅前の商業施設「MAROOT(マルート)」を巡った。

 失語症者と受講生、言語聴覚士が3人一組で行動し、受付や交通料金の払い方をサポート。「こちらで支払えます」「ここから入れます」と身ぶりや筆談を交えながら補助した。

 講習会は、富山県の委託を受けて富山県言語聴覚士会が毎年開く。30~70代の4人が受講し、8月から座学や実習を通して病気の特徴や福祉制度の仕組みを学んできた。今後は「失語症者向け意思疎通支援者」として県に登録され、派遣要請に応じて支援活動に取り組む。

 受講者の一人、高岡市の本澤泰子さん(73)は「相手の思いをくみ取った支援をしていきたい」と意気込んだ。県言語聴覚士会顧問の西田勇人さん(64)は、県内では支援者の派遣実績がまだないとし「たくさんの人に病気や制度について関心を深めてもらいたい」と話した。