富山県の氷見市論田(ろんでん)・熊無(くまなし)地区の住民でつくる一般社団法人「ろんくま」(内毅代表理事)は、論田の空き店舗兼住宅を活用して来春オープンを目指す宿泊体験・交流施設の改修を本格的に始めた。8日はDIY(日曜大工)ワークショップを開き、地区の活性化に協力する富山大生らが住民と玄関ポーチ作りに励んだ。

 中山間地の論田・熊無地区は県の移住者受け入れモデル地域に認定されている。移住促進、交流人口拡大に取り組む住民たちが4月に一般社団法人を設立し、整備計画を進めてきた。

 改修するのは論田公民館に近い旧荒屋商店。以前、集落に唯一あった食料や酒類を売る店で、住民が集う憩いの場だったという。計画では特産・草餅の加工場も施設内に移転させる。

 ワークショップは富山大芸術文化学部の萩野紀一郎准教授と建築・設計を学ぶ学生約20人が参加。ポーチは能登産スギ材を伝統技法で組む設計で、大工の中村武司さん(名古屋市)に習い「ほぞ」や「ほぞ穴」を加工した。9日と29、30日にも作業し完成させる。

 萩野准教授に学ぶ富山大大学院2年生で論田・熊無地区の地域おこし協力隊員でもある竹岡怜音(れお)さん(24)が施設運営に携わる。竹岡さんは「憩いの場だった住民の古き良き思い出を復活させると共に、地区外の人もふらっと立ち寄れる場所にしたい」と張り切る。「ポーチ作りに関わった学生も愛着を感じてちょくちょく来てくれるようになれば、関係人口拡大にもつながる」と話した。

 ろんくまは施設運転資金300万円をクラウドファンディングで募っている。