富山県南砺市の浄土真宗ゆかりの山岳古道、道宗道(どうしゅうみち)を駆ける「世界遺産五箇山・道宗道トレイル」が12日、同市のたいらスキー場を発着点に開かれた。2019年まで開かれていた「世界遺産五箇山・道宗道トレイルラン」の後継イベントとして6年ぶりに開催。27都府県から約500人が出場し、澄んだ秋空の下、険しい山道に挑んだ。
道宗道は、南砺市西赤尾町の行徳寺から同市井波の井波別院瑞泉寺を結ぶ全長約30キロの古道。室町時代に五箇山地方で浄土真宗を布教した赤尾道宗が瑞泉寺参拝のために通ったとされる。市内の山岳会員らでつくる「道宗道の会」が整備し、保全・継承に取り組んでいる。
大会は新型コロナ禍などによる中断を経て、若い世代が中心となって実行体制を刷新。従来の大会から名称を改め、後継イベントとして開いた。
標高約1千メートルの高清水山地を縦走し、瑞泉寺で折り返すロング(約57キロ)と、ミドル(約28キロ)の2コースを設けた。出場者は合図とともに山中へ駆け出し、険しい登り道や滑りやすい急坂を力走した。
瑞泉寺に設けられたエイドステーションでは、特別協賛で小矢部市に本店を置くスポーツ用品大手・ゴールドウインの従業員が給水や給食を担当。疲労の色を見せるランナーを笑顔で迎えた。同社は参加賞のTシャツ製作にも協力した。
実行委員長で、道宗道の会の会長も務める楠則夫さんは「若い世代が思いを継いでくれたのがありがたい。来年以降も続けていければ」と話した。北日本新聞社後援。