2027年度の開校を目指す富山県立の夜間中学は、雄峰高校(富山市神通町)に開設される見通しとなった。富山駅からのアクセスの良さや校内のバリアフリー化が進んでいることなどが理由。設置検討協議会が10日の第4回会合で、場所として最適との意見をまとめた。14日の県教育委員会定例会で最終決定する。県内で公立での設置は初めてになる。

 雄峰高は昼間・夜間の単位制や通信制などを備える。富山駅から徒歩11分の距離に立地し県全域から通いやすく、多目的トイレやエレベーターが整備されていることなどを踏まえた。

 他の候補地として、いずれも富山市の富山工業と富山中部、呉羽の3校も挙がっていたが、電車やバスでの帰宅をシミュレーションすると「帰宅時間が遅くなる」「路線が限られる」といった課題がみられた。

 検討会の出席者から雄峰での開設に「駐車場があるため、車で通う人も通いやすい」と肯定的な意見が出た一方、「雄峰の駐車場は広くない」「在校生は車で通えないのに、夜間中学生は通えるという状況になると摩擦が生まれるのでは」といった懸念も出た。

 志貴野高(高岡市)の北村宜也校長は「必修単位を取得できにくくなるといった不具合が起きないよう、在校生に配慮してほしい」と求めた。

 県教委は、他県の先行事例では施設や運用面で融通し合って課題を解決しているとし「互いの生徒が窮屈にならないよう、一人一人に寄り添った運営を考えていく」と答えた。

 夜間中学は戦後の混乱期に小中学校に通えなかった人や外国籍・不登校の人らを対象に、免許を持った教員が週5日授業を行う。