参院選の投票率向上へ南砺市選挙管理委員会は13日、山間部の五箇山地域に移動式の期日前投票所を設けた。平、上平、利賀地域で投票所が廃止された計6カ所を対象に1日限定で実施。投票箱を積んだ市営バスが巡り、68人が一票を投じた。市選管によると、移動式の期日前投票所を設けるのは県内で初めて。

 市選管は投票立会人のなり手不足のため、今回の参院選から投開票日に設ける投票所を39カ所から31カ所に減らす。不便になる地域の投票機会を確保しようと、移動式を採用。20人乗りの中型バスに立会人2人と管理者1人を乗せて巡回し、45分ずつ時間を設けた。

 平地域にある有権者22人の祖山地区では、午前8時半の開始に合わせて次々に有権者が訪れ、集会所前に止められたバスに入った。一番に投票した蔵一子(かずこ)さん(84)は「車の免許証を返納しており、この取り組みがなかったら棄権していたと思う。これからも続けてほしい」と話した。

 投票所の廃止で、選挙当日は祖山から10キロ余り離れた下梨まで足を運ばなければならなくなり、別の女性(80)は「遠くて行けないので年寄りにはありがたい」と話した。投票所が減ることに不満を漏らす人もいた。

 市選管の片田健一書記長は「有権者の投票機会を奪うことがないよう、今回の取り組みを検証した上で、今後もできれば続けていきたい」と話した。