上方落語の名人、3代目桂米朝師匠(1925~2015年)の生誕100年と没後10年にちなみ、富山市桜町の居酒屋「酒肆(しゅし)真酒亭」で直筆の色紙などゆかりの品々を展示している。店主の村田千晴さん(72)は長年の落語ファンで生前、高座で度々来県した米朝師匠とも交流があった。「今一度師匠の魅力を知ってほしい」と話す。
米朝師匠は、戦後消滅しかけていた上方落語の継承、復興に尽力し、人間国宝にも認定され、2009年には演芸界初の文化勲章を受章した。
学生時代から落語好きだった村田さんは39年前に店を構えた頃、上方落語の魅力に開眼。特に米朝師匠は「話芸が整った端正な落語」と今でも大ファンだ。そんな憧れの師匠との接点をつくってくれたのは、常連客だった元富山大人文学部長の故二村文人さんだった。師匠の三男が富山大人文学部出身という縁もあった。村田さんと同じく落語ファンだった二村さんは約25年前、富山市で落語会が開かれた際、2人で楽屋を訪れお酒をプレゼント。以来、富山で高座がある時は必ず出向いて米や酒などを贈り、その度に直筆のお礼状が届いた。
師匠は「八十八(やそはち)」の号で俳人としても活躍。今回の展示では、1974年に吟行で富山県を訪れた時に詠んだ「雁鳴くや神通川は暮れのこり」など5句を紹介している。直筆の句をしたためた色紙や2012年に米寿の祝いを贈ったお礼に届いたオリジナルの反物で仕立てた浴衣など11点も展示している。
展示は8月末までの予定で、期間中は店内で米朝師匠の落語のCDを流して偉大な名人をしのぶ。村田さんは「温厚で味のある人だった。思い出の品々を通じて、富山にも縁があったことを知ってほしい」と話す。同店は日、月曜定休。開店は午後5時。