「日本の棚田百選」に選ばれている富山県氷見市長坂の棚田で24日、棚田オーナー事業が行われ、県内外の29組156人が景観を楽しみながら田植えをした。
担い手不足による荒廃を食い止めるために始めたオーナー事業は27年目を迎え、ことしは県内のほか東京、神奈川、大阪などから41組が登録する。開始式で20年以上オーナーを続ける東京都練馬区の佐藤寛さん(67)に藤井隆長坂区長(71)から「長坂栄誉村民賞」の表彰状が贈られた。
オーナーたちは、割り当てられた区画にはだしや長靴で入り、泥の感触を楽しみながら笑顔でコシヒカリの苗を植えた。小雨模様で眼下に望む富山湾はかすんでいたが、山あいの澄んだ空気とのどかな景色を満喫していた。ハンドボールチーム・富山ドリームスの新人選手4人も参加した。
藤井区長は、棚田の一部は地盤沈下で田んぼが深くなったり、あぜが下がったりしており、今も能登半島地震の影響が残ると言う。ただ、オーナー田に影響はなく「ことしも多くの人を迎えることができてよかった」と笑みを見せた。栄誉賞を受けた佐藤さんは「前泊しておいしいものを食べて田植えをするのが恒例になっている。訪れ続けることで被災地氷見を応援していきたい」と話した。
9月27日には稲刈りとはさ掛けを予定している。