富山県滑川市下梅沢にある加積郷神社に奉納されている絵馬2枚の修復が終わり、町内の公民館で地域住民らに披露されている。それぞれ江戸、明治期に描かれたもので、経年劣化で板が割れたり、絵の具が剥がれたりしていたため、専門家に修復を依頼した。住民たちは後世に受け継ぐ決意を新たにしている。

 加積郷神社には3枚の絵馬があり、拝殿に奉納されている。うち修復したのは2枚で、1枚(縦78センチ、横163センチ)が江戸末期の1854(嘉永7)年に一枚板に川中島合戦を描いたもの。もう1枚(縦91センチ、横182センチ)は1880(明治13)年製で、西南戦争を題材にしている。

 いずれも板に亀裂や継ぎ目の開きが生じていた他、くぎのさびや絵の具の剥離が目立っていた。修復を検討していたところ、住民の一人から費用を全額寄付するとの申し出があった。昨年9月、石川県文化財保存修復協会(金沢市)に依頼し、ことし3月に町内に戻ってきた。

 協会の報告書によると、柔らかいはけを使ってほこりを取り除いたり、接着剤を塗って絵の具の剥落を防いだりしたという。下梅澤町内会の松平文博会長(74)は「絵馬を覆っていた汚れが取れて、とてもきれいになった。ぜひ見てもらいたい」と喜んでいる。

 絵馬の見学は自由。不定期で平日午後3~4時に下梅沢公民館を開放している。