富山大付属病院(富山市杉谷、林篤志院長)がクラウドファンディング(CF)を活用して院内で整備を進めていた「ホスピタルアート」が完成した。患者の不安や緊張を和らげるのが目的で、3階の手術室の入り口に続く廊下の壁一面に富山の自然が優しい色合いで描かれている。完成式が31日あり、関係者が祝った。(新井翔大)

 制作したのは画家で秋田公立美術大助手の細井茶生(さき)さん(25)。姉が富山大医学部で学んでいる縁で依頼を受けた。題材にしたのは立山連峰やライチョウ、チューリップなど。「患者さんやご家族がほっと一息つけるような温かな場になれば」と、柔らかな色彩で描いた。高さ2・7メートル、幅は21メートルある。

 完成式典で細井さんは「手術を控えた患者さんやご家族、また、手術を行う医療従事者の方へエールを送りたいという思いを込めた」と制作の意図を語った。林院長が「病院の宝として大事にしていきたい」とあいさつした。

 CFは同大初の取り組みで、老朽化が進む手術室の環境整備などを目的に昨年7月に開始。550万円の目標額に対し、9月までに1359万円が集まった。寄付金を活用し、今後は看護師の人材確保に向けた採用活動や、小学生向けの手術室の体験ツアーなども予定している。