東北新幹線が停車する八戸駅から車で約20分。昨年10月にフィギュアスケートの東日本選手権が行われたテクノルアイスパーク八戸は、1984年5月の完成から40年の節目を迎えた。「氷都」と称され、スケートが盛んな八戸市であっても一般客が減る苦境にある。しかし、「日本一」のリンクを目指して氷の質を高め、アイスショーや大会、合宿の誘致で県外の利用者を呼び込んできた。
施設の指定管理者「エスプロモ」社の坂頂昭治(さかちょう・しょうじ)代表取締役(66)は同社が八戸市体育振興公社から民営化して誕生した2008年以降、リンクの改革を主導した。「競技レベルが一番高いものを見られるようにするには、やっぱりスケートリンクの品質。いい競技環境を提供するのが僕たちの役割」と強いこだわりを持つ。(共同通信=大島優迪)
▽品川で「全然違う」スケート体感 故郷戻り、整氷など業務に本腰
坂頂さんは八戸市出身。学校の授業や遊びの一環で屋外リンクや水たまりに張った氷で気軽にスケートで滑れる環境で育った。ただ、子どもの時は野球、高校時代はサッカーに熱中。東京の大学に進学しながら品川プリンスホテルに当時、併設された「品川スケートセンター」で働き、整氷担当になって本格的にスケートと関わるようになった。
同センターはリンクを3面備え、フィギュアスケート専用のリンクもあったという。アイスホッケーの西武鉄道のホームリンクとして使われたほか、フィギュアスケートの全日本選手権が何度も開催されるなど、国内のスケート文化を支えた。
坂頂さんはスケートになじんで育ったが、日本のトップ選手や指導者が集まる環境では「全然違う」スケートを体感した。練習や試合を間近で見た際の高い技術や格好良さに加え「心を動かすようなところがあった」。整氷のノウハウを習得しながら「日本一のリンクだと感じて仕事をしていた」と実感を込める。