富山大学術研究部薬学・和漢系の横山武司助教(47)らは14日、農薬に使われる化学物質の中から、国指定の難病「ATTRvアミロイドーシス」の治療に役立つ可能性のある物質を発見したと発表した。安価で効果の高い新薬の開発につなげたい考えだ。

 ATTRvアミロイドーシスは、アミロイドと呼ばれる異常なタンパク質がさまざまな臓器に沈着して機能障害を起こす病気で、死に至ることもある。国内の患者数は約5百人。現在の治療薬は病気の進行を十分に抑制できない場合があることや、高額であることなどが課題となっている。

 研究では、農薬に用いられる化学物質651種類を選別して評価。除草剤に使われるアイオキシニルとアクロニフェンに、アミロイドの形成を防ぐ高い効果があることを確認した。

 今後、治療薬としての改良や安全性の評価などを進め、実用化を目指す。横山助教は「患者が少ない希少難病の治療薬は、製薬会社が手を出しにくい領域。大学が力を入れる意義がある」と話した。

 研究成果は米化学誌「ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー」に掲載された。