県内企業の多くが仕事始めとなった6日、各社のトップが年頭の訓示を行った。地域経済は回復基調にあるものの、人手不足や物価高など不安要素も多い。えとのヘビにちなんで「脱皮の年」を掲げ、新分野への挑戦に決意を語るトップもいた。
金融/地域・顧客の課題解決
「金利のある世界」が戻った一方、世界経済の不透明感から金融機関は難しいかじ取りを迫られている。
北陸銀行は本店で年賀式を開催。中澤宏頭取は新たな中期経営計画に移る年であることに触れ「地域やお客さまにどう貢献できるか、計画を自分事として理解を深めてほしい。職員全員の成長がサービスの源泉になるので果敢に挑戦してほしい」と呼びかけた。
富山第一銀行の野村充頭取は新年祝賀式のあいさつで2025年度を、24年度に積み上げた資本に見合った「リスクを積み上げる年」と位置づけた。足元から積極的に成長投資を行うとし、「将来に向けて一歩踏み出す強い意欲が必要になる」と述べた。
富山銀行の中沖雄頭取はテレビ会議システムで年頭あいさつを行った。「先が読みがたい時代こそ情報提供力のある銀行が頼りにされる」と強調。傾聴力、誠実さ、機動力が自行の強みとし「お客さまの課題や悩みを解決してほしい」と求めた。
製造・流通・サービス/変化の激しい市場に対応
メーカーや流通各社は、海外展開や設備投資を進めて変化の激しい市場環境に対応し、飛躍の年とすることを誓った。
ダイトの松森浩士社長は年頭あいさつを社員向けに配信。毎年の薬価改定で厳しい経営を強いられる中、既存ビジネスの見直しや中国での事業を本格化させる。ヘビが脱皮を繰り返して成長を遂げることから、巳(み)年は挑戦や発展の年とされると紹介し「新たな可能性を切り開き、より良い会社に変革していきたい」と表明した。
YKKは2025年度が新しい中期経営計画の初年度に当たる。ファスナー製品の販売数量は着実に改善しており、大谷裕明社長は年頭あいさつで「現中計の目標を残り3カ月でやり遂げ、さらなる高みを目指す」とコメントした。
スギノマシンの杉野良暁社長は、取引先から生産現場の環境負荷を低減するよう要望があることから、デジタル化や業務改善に力を入れる。「古い皮を脱ぎ捨て、若々しい柔軟な発想を持ち、未来に向けて成長する1年にしたい」
三協立山の平能正三社長は「新湊東工場の新規押出ラインの増設など、将来を見据えた投資を実行し、成長軌道に乗せる年となる」と説明。北陸コカ・コーラボトリングの稲垣晴彦会長は能登半島地震に触れ、「災害時の迅速な飲料水の提供や備蓄など責任をしっかりと果たす」と強調した。
トナミホールディングスの高田和夫社長は、企業理念の「和の経営」に基づいた事業運営で継続的な発展を図りたいとし「当社に大きな成長をもたらす1年となるよう全員が一丸となって取り組むことを期待する」と呼びかけた。
アルビスの池田和男社長は4日の新春朝礼で訓示し、競合他社との差別化の必要性を訴えた。「自己満足でなく、お客様の視点に立って『圧倒的な1番』をつくることが大切」
電力・ガス/しなやかで強い体制を
1年前に能登半島地震や奥能登豪雨を経験したエネルギー業界は、災害への対応強化に力を注いでいる。
北陸電力の松田光司社長は新年あいさつで、頻発する自然災害への備えとして、送電設備をはじめとしたハードとソフト両面で改善点をまとめていくことが重要だと説明。検証データを電力各社と共有し、強じんな電力供給体制構築に貢献する方針を示した。へび年は成長と変化、再生の象徴だとし、社員に対して「しなやかで強い会社にしていく必要がある」と訴えた。
日本海ガス絆ホールディングスの新田洋太朗社長は訓示で、能登半島地震を巡り「民間企業には、まちをより強く、持続的に、魅力的にしていく責務がある」と述べた。その上で「今後はより具体的な形で富山市のまちづくりに関するプロジェクトに着手していきたい」とした。