不登校の児童・生徒は増加の一途をたどっている。2024年度には35万人を超え、過去最多を更新した。いじめや家庭環境といった原因をイメージしがちだが、新型コロナウイルス禍以降、なんとなく学校に行かない不登校も増えている。

 そもそも不登校はいけないことなんだろうか。実は子どもたちが自信を取り戻すチャンスなんじゃないか。そんな思いから不登校対策に取り組んでいるのが、ポッドキャスト番組「子育てのラジオ」が人気の若者2人組、その名も「Teacher Teacher」だ。挑戦の舞台は、インターネット上の仮想空間メタバースで運営する完全無料のフリースクール。そしてその子どもたちの声を生かして、リアルの教育の世界をアップデートするのが目標だ。(共同通信=筒渕朱音)

 ▽「こんなこと、しとう場合じゃない」と退職

 「Teacher Teacher」は元小学校教諭の福田遼さん(30)と、ラジオ番組プロデューサーの秋山仁志さん(29)によるプロジェクトだ。はるかとひとしのパーソナリティー名で2023年4月にポッドキャスト番組「子育てのラジオ」を始めた。リスナーの悩みに寄り添い、納得するまで一緒に考えるというスタンスが特徴で、親世代に共感が拡大。2024年3月には「JAPAN PODCAST AWARDS」で「今、絶対に聴くべきポッドキャスト」に贈られる大賞を受賞した。

 2人は九州大出身。ダンスサークルで出会い、意気投合した。はるかさんは教育学部を出て、地元の福岡で小学校教諭を5年間務めた。やりがいがあった一方で「みんなで黒板に向かって、そこからはみ出した子どもは問題児として扱われることにモヤモヤしていた」という。教育現場を変えなければと一念発起して、教諭の仕事をしながら大学院に通った。教育の文献を読みあさり専門知識を増やしたが、自分のクラスにも不登校の子どもがいてすぐにでも対応が必要なのに、実際に教育現場を変えるには少なくとも自身が管理職になる必要がある。すると10年、いやそれ以上の時間がかかりそうだ。はるかさんは「こんなこと、しとう(している)場合じゃない」と退職を決断し、不登校対策を実行に移した。

 ひとしさんは工学部を出て、音声コンテンツ制作の道に進んだ。日本の教育の在り方には違和感を抱いていたが、はるかさんがもがく姿を目の当たりにして「多くの教育者が(改善するために)めちゃくちゃ試行錯誤していることに気がついた」と振り返る。

 「子育てのラジオ」では、いわゆる舞台回しを担う。

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