日本テレビ系列の主要4局を統合した持ち株会社・読売中京FSホールディングス(FYCS)が2025年4月に発足した。札幌テレビ、中京テレビ(名古屋)、読売テレビ(大阪)、福岡放送はFYCSの100%子会社となる。
地方局の経営が悪化し、再編が取りざたされる中、FYCSは窮状打開の切り札となるのか。日テレ社長からFYCS社長に転じた石沢顕(いしざわ・あきら)さん(69)に聞いた。(共同通信編集委員・原真)
▽あうんの呼吸で統合
「日テレ系列の30局は、原則として県単位の放送免許制度の下で、地域の情報をきめ細かく収集して発信し、地域経済に資する営業を続けてきました。そのネットワークをどうすれば維持できるか。1局も欠けることなく、全局が生き残るためには、どうするべきか。それが出発点でした」
石沢さんは、そう切り出した。
「4局は、東北・北海道、九州など各ブロックの系列局の中心で、統合すれば、系列局同士の連携を増強できる。経営課題を議論していくことで、他の系列局の利益にもなる」
地方局の再編を巡り、総務省は近年、放送の多様性を確保する規制「マスメディア集中排除原則」の緩和を進めてきた。キー局が系列局を救済できるよう、持ち株会社が傘下に入れられる局の数の制限を撤廃したり、地方局の経費節減のため、同じ系列の局が同一のローカルニュースを放送したりすることが、既に可能になっている。こうしたキー局主導の“タテ”の再編に対し、同じ放送エリア内で系列の違う局が合併するような“ヨコ”の再編を求める意見もある。
そんな中で、4局は、日テレと読売新聞社が出資する持ち株会社を選んだ。「日テレと読売新聞の影響力を強めるための資本政策だ」と解説する関係者もいる。
これに対し、石沢さんは「あうんの呼吸だと思います」と語る。「4社はもともと、日テレと読売新聞の資本が比較的多かった。日テレの持ち株会社・日本テレビホールディングス(日テレHD)がFYCSの株式の25%、読売新聞グループが15%を持ち、4局の株主もFYCSの株主になりました」
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FYCSを設立することで、具体的にどんな利点があるのか。