愛くるしい姿で世代を問わず人気のジャイアントパンダ。中国からの来日、日本からの返還、そして赤ちゃんの誕生―。日本ではこれまで何度も「パンダフィーバー」が起きた。赤ちゃんが生まれれば名前を予想し、連日動物園やレジャー施設に見物客が押し寄せた。
いま日本にいるのは、上野動物園の「シャオシャオ」と「レイレイ」の双子だけ。そんな2頭も、もうすぐ中国への返還期限を迎える。日中関係の行方次第では、日本では当面パンダを見られなくなる可能性もある。
友好の象徴、外交カード。とらえ方はさまざまだ。たかがパンダ?されどパンダ?(共同通信パンダ取材班)
▽日本人はパンダ大好き
まずは簡単に日本のパンダの歴史を振り返ってみよう。
日本に最初にパンダが来たのは1972年、東京・上野動物園のランランとカンカンだった。日本中にブームを巻き起し、「パンダ好き」の日本人を生み出した。その後、和歌山県のレジャー施設「アドベンチャーワールド」や神戸市の王子動物公園にもパンダが貸し出された。
中でも「上野のパンダ」は象徴的な存在だった。そんな上野動物園にも、2000年代にピンチが訪れる。
1992年から上野動物園で過ごしていた雄リンリンが2008年4月に死んだ時だ。上野にパンダがいなくなってしまった。動物園の関係者、そして上野の街の喪失感は大きかった。その後、政府や関係者の働きかけが功を奏したのか、2011年にリーリーとシンシンが来日する。
この2頭の間には、2017年に雌シャンシャン、2021年に双子の雄シャオシャオと雌レイレイが生まれた。
▽お別れにも注目
パンダは絶滅の恐れなどからワシントン条約が商取引を禁止している。中国からの貸し出しは「繁殖研究」が目的だ。日本で生まれたパンダの所有権は中国にある。そのため、いつかは中国に帰る日が来る。
そうしたパンダたちとの「お別れ」も、日本人の心を動かしてきた。上野では2023年にシャンシャン、2024年にはリーリー、シンシンが中国に戻された。アドベンチャーワールドでも、2023年の永明ら3頭、2025年には4頭が返還。
上野も和歌山も、搬出される際は多くのファンが沿道を埋め、涙ながらに見送った。
▽「シャオ・レイ」は2月が返還期限
日本で会えるパンダは急激に減っている。